ミネラルの摂取基準

食塩相当量(ナトリウム)□

通常の食事によるナトリウム摂取源は食塩の主成分である塩化ナトリウム。
ナトリウムは細胞外液量を維持し、浸透圧、酸・塩基平衡の調節にも重要な役割を果たす。
高血圧やがん、脳卒中との関連も指摘される。

性別男性女性
年齢目安量(g/日)目標量(g/日)目安量(g/日)目標量(g/日)
0~5(月)0.3-0.3-
6~8(月)1.5-1.5-
9~11(月)1.5-1.5-
1~2(歳)-4未満-4未満
3~5(歳)-5未満-5未満
6~7(歳)-6未満-6未満
8~9(歳)-7未満-7未満
10~11(歳)-8未満-7.5未満
12~14(歳)-9未満-7.5未満
15~17(歳)-9未満-7.5未満
18~29(歳)-9未満-7.5未満
30~49(歳)-9未満-7.5未満
50~69(歳)-9未満-7.5未満
70以上(歳)-9未満-7.5未満
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+0

カリウム□

カリウムは体液の浸透圧を決定する重要な因子。
酸・塩基平衡を維持する作用があり、また、神経や筋肉の興奮伝導にも関与する。
腎機能が正常であれば、普段の食事からのカリウム摂取によって代謝異常(高カリウム血症)を起こすことはない。

性別男性女性
年齢目安量(mg/日)目標量(mg/日)目安量(mg/日)目標量(mg/日)
0~5(月)400-400-
6~8(月)700-700-
9~11(月)700-700-
1~2(歳)900-800-
3~5(歳)1000-1000-
6~7(歳)1300-1200-
8~9(歳)1500-1400-
10~11(歳)1900-1700-
12~14(歳)2300-2100-
15~17(歳)2700-2000-
18~29(歳)2500280020002700
30~49(歳)2500290020002800
50~69(歳)2500300020003000
70以上(歳)2500300020002900
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+400

目標量は高血圧の一次予防を積極的に進める観点から設定

カルシウム□

カルシウムの摂取量と骨量、骨密度には有意な関連が認められ、低下すると骨の粗しょう化を引き起こす。
また、過剰摂取の場合は泌尿器系結石、ミルクアルカリ症候群などの原因になるとの報告がある。

性別男性女性
年齢推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)
0~5(月)-200--200-
6~8(月)-250--250-
9~11(月)-250--250-
1~2(歳)400--400--
3~5(歳)600--550--
6~7(歳)600--550--
8~9(歳)650--750--
10~11(歳)700--700--
12~14(歳)1000--800--
15~17(歳)800--650--
18~29(歳)800-2300650-2300
30~49(歳)650-2300650-2300
50~69(歳)700-2300650-2300
70以上(歳)700-2300600-2300
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+0

マグネシウム□

マグネシウムは骨の健康の維持と多種の酵素反応に寄与。
マグネシウムの欠乏は低カルシウム血症、筋肉の痙れん、冠動脈のれん縮を引き起こす。
通常の食品からのマグネシウムの過剰摂取によって好ましくない健康影響が発生したとする報告は見当たらない。

性別男性女性
年齢推奨量(mg/日)目安量(mg/日)推奨量(mg/日)目安量(mg/日)
0~5(月)-20-20
6~8(月)-60-60
9~11(月)-60-60
1~2(歳)70-70-
3~5(歳)100-100-
6~7(歳)130-130-
8~9(歳)170-160-
10~11(歳)210-210-
12~14(歳)290-280-
15~17(歳)350-300-
18~29(歳)340-270-
30~49(歳)370-290-
50~69(歳)350-290-
70以上(歳)320-260-
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+40+40+40+0

リン□

リンは、細胞の中のリン酸化を必要とするエネルギー代謝に必須な成分。
リンの過剰摂取は、腸管におけるカルシウムの吸収を抑制するとともに、急激な血清無機リン濃度の上昇により、血清カルシウムイオンの減少を引き起こし、血清副甲状腺ホルモン濃度を上昇させる。

性別男性女性
年齢目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)
0~5(月)120-120-
6~8(月)260-260-
9~11(月)260-260-
1~2(歳)600-600-
3~5(歳)800-700-
6~7(歳)900-900-
8~9(歳)1100-1000-
10~11(歳)1200-1100-
12~14(歳)1200-1100-
15~17(歳)1200-1000-
18~29(歳)100030009003000
30~49(歳)100030009003000
50~69(歳)100030009003000
70以上(歳)100030009003000
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+0

□

鉄の欠乏は貧血や運動機能、認知機能等の低下を招く。
逆に、過剰摂取した場合は鉄沈着症の発生が危惧される。

性別男性女性
年齢推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)
0~5(月)-0.5--0.5-
6~8(月)5--4.5--
9~11(月)5--4.5--
1~2(歳)4-254.5-20
3~5(歳)5.5-255.5-25
6~7(歳)6.5-306.5-30
8~9(歳)8.5-358-35
10~11(歳)10-359.5-35
12~14(歳)11-5010-40
15~17(歳)9.5-457-40
18~29(歳)7-506-40
30~49(歳)7.5-556.5-40
50~69(歳)7.5-506.5-45
70以上(歳)7-506-40
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+2.5+15+15+2.5

女性の推奨量は月経無しの場合
月経有りの場合は概ね+4mg/日となる。

亜鉛□

亜鉛は種々の生理機能に重要な役割を果たす。
亜鉛欠乏による症状には皮膚炎と味覚障害がよく知られている。
過剰摂取に関しては、亜鉛自体の毒性は極め低いものの、銅の吸収阻害による銅欠乏が懸念される。

性別男性女性
年齢推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)
0~5(月)-2--2-
6~8(月)-3--3-
9~11(月)-3--3-
1~2(歳)5--5--
3~5(歳)6--6--
6~7(歳)7--7--
8~9(歳)8--8--
10~11(歳)10--10--
12~14(歳)11--9--
15~17(歳)13--9--
18~29(歳)12-409-35
30~49(歳)12-459-35
50~69(歳)12-459-35
70以上(歳)11-409-30
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+2+2+2+3

□

銅はエネルギー生成や鉄の代謝、細胞外マトリックスの成熟、神経伝達物質の産生、活性酸素の除去など、生物の基本的な機能に関与する。
銅の欠乏症には、白血球減少、骨異常、成長障害、心血管系や神経系の異常、毛髪の色素脱失、筋緊張低下、コレステロールや糖代謝の異常などがある。
過剰摂取の場合には、ウイルソン病となり、肝臓や脳、角膜へ銅が顕著に蓄積し、肝機能障害、神経障害、精神障害、関節障害などを引き起こす。

性別男性女性
年齢推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)推奨量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)
0~5(月)-0.3--0.3-
6~8(月)-0.3--0.3-
9~11(月)-0.3--0.3-
1~2(歳)0.3--0.3--
3~5(歳)0.3--0.3--
6~7(歳)0.4--0.4--
8~9(歳)0.5--0.5--
10~11(歳)0.6--0.6--
12~14(歳)0.8--0.8--
15~17(歳)0.9--0.7--
18~29(歳)0.9-100.7-10
30~49(歳)0.9-100.7-10
50~69(歳)0.9-100.7-10
70以上(歳)0.8-100.7-10
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0.1+0.1+0.1+0.6

マンガン□

マンガンの不足は骨代謝、糖尿病や脂肪性肥満、運動機能、皮膚代謝などに影響が及ぶと考えられている。
過剰摂取に関しては、血中マンガン濃度の上昇と脳への蓄積が認められ、健康被害の可能性は無視できない。

性別男性女性
年齢目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)目安量(mg/日)耐容上限量(mg/日)
0~5(月)0.01-0.01-
6~8(月)0.5-0.5-
9~11(月)0.5-0.5-
1~2(歳)1.5-1.5-
3~5(歳)1.5-1.5-
6~7(歳)2-2-
8~9(歳)2.5-2.5-
10~11(歳)3-3-
12~14(歳)4-3.5-
15~17(歳)4.5-3.5-
18~29(歳)4113.511
30~49(歳)4113.511
50~69(歳)4113.511
70以上(歳)4113.511
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+0

ヨウ素□

ヨウ素が欠乏すると、甲状腺が異常肥大して甲状腺腫となり、甲状腺機能が低下する。
また、妊娠中のヨウ素欠乏は、死産、流産、胎児の先天異常及び胎児甲状腺機能低下を引き起こす。
過剰摂取の場合にも甲状腺腫を引き起こすが、日本人の場合はヨウ素摂取の形態が極めて特異的であるため、ヨウ素過剰摂取の影響を受けにくい可能性がある。

性別男性女性
年齢推奨量(μg/日)目安量(μg/日)耐容上限量(μg/日)推奨量(μg/日)目安量(μg/日)耐容上限量(μg/日)
0~5(月)-100250-100250
6~8(月)-130250-130250
9~11(月)-130250-130250
1~2(歳)50-25050-250
3~5(歳)60-35060-350
6~7(歳)75-50075-500
8~9(歳)90-50090-500
10~11(歳)110-500110-500
12~14(歳)130-1300130-1300
15~17(歳)140-2100140-2100
18~29(歳)130-2200130-2200
30~49(歳)130-2200130-2200
50~69(歳)130-2200130-2200
70以上(歳)130-2200130-2200
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+110+110+110+140

セレン□

セレンは含セレンたんぱく質の形態で生理機能を発現する。
セレン欠乏症として、下肢の筋肉痛、皮膚の乾燥などを生じ、心筋障害を起して死亡した症例が報告されている。
過剰摂取した場合は、毛髪や爪の脆弱化・脱落が高頻度で生じ、他に胃腸障害や皮疹、神経系の異常などを引き起こす。

性別男性女性
年齢推奨量(μg/日)目安量(μg/日)耐容上限量(μg/日)推奨量(μg/日)目安量(μg/日)耐容上限量(μg/日)
0~5(月)-15--15-
6~8(月)-15--15-
9~11(月)-15--15-
1~2(歳)10-5010-50
3~5(歳)15-7015-70
6~7(歳)15-10015-100
8~9(歳)20-12020-120
10~11(歳)25-16020-150
12~14(歳)30-21025-200
15~17(歳)35-26025-220
18~29(歳)30-28025-220
30~49(歳)30-30025-230
50~69(歳)30-28025-230
70以上(歳)30-26025-210
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+5+5+5+20

クロム□

通常の食事から摂取されるクロムは三価クロムで、六価クロムは自然界にはほとんど存在しない。
クロムは糖代謝との関連が報告されており、欠乏するとインスリン作用が低下し、耐糖能低下が生じると考えられる。
過剰摂取に関しては、健康障害との関連を示すに足る研究が不十分であるので耐容上限量は設定しない。
ただし、六価クロムの毒性を考えると、三価クロムにも発ガン性などの有害作用を持つ可能性は否定できず、過剰摂取は控えるべきである。

性別男性女性
年齢推奨量(μg/日)目安量(μg/日)推奨量(μg/日)目安量(μg/日)
0~5(月)-0.8-0.8
6~8(月)-1-1
9~11(月)-1-1
1~2(歳)----
3~5(歳)----
6~7(歳)----
8~9(歳)----
10~11(歳)----
12~14(歳)----
15~17(歳)----
18~29(歳)40-30-
30~49(歳)40-30-
50~69(歳)40-30-
70以上(歳)35-25-
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+0

身体活動レベルII(アウトドア派)の推定エネルギー必要量を用いて算定

モリブデン□

モリブデンは亜硫酸を無毒化する作用を有する。
欠乏した場合、亜硫酸の蓄積によって脳萎縮と機能障害、痙攣、精神遅滞、水晶体異常などの症状が現れる。

性別男性女性
年齢推奨量(μg/日)目安量(μg/日)耐容上限量(μg/日)推奨量(μg/日)目安量(μg/日)耐容上限量(μg/日)
0~5(月)-2--2-
6~8(月)-3--3-
9~11(月)-3--3-
1~2(歳)------
3~5(歳)------
6~7(歳)------
8~9(歳)------
10~11(歳)------
12~14(歳)------
15~17(歳)------
18~29(歳)25-55020-450
30~49(歳)30-60025-500
50~69(歳)25-60025-500
70以上(歳)25-55020-450
妊婦初期妊婦中期妊婦末期授乳婦
+0+0+0+3

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